猫の不妊手術│保護した猫の避妊・去勢の適切なタイミングは?

足を開いて座る茶トラの猫
猫の不妊手術│アイキャッチ│足を開いて座る茶トラの猫
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猫の不妊手術は、いつ頃したらよい? なんとなく迷っている人もいるのではないではないでしょうか?

野良猫の保護活動もさかんになってきた昨今ですが、依然として、野良猫の増加は各地域での社会的課題となっています。中には、思い切ってご縁のあった野良猫を保護した人もいるのではないでしょう。

繁殖目的ではない猫をおうちで飼うなら、不妊手術が必要となってきます。

この記事では、保護した猫の不妊手術について、順を追って解説します。

保護猫の不妊手術には、不安がある人もたくさんいると思います。がんばって乗り越えましょう。


適切な避妊のタイミング

猫の成長には、個体差があります。適切な避妊のタイミングは、発情サイクルが始まる前です。生後6ヵ月以降が適しています。子猫については、体重が2kg以上になってから手術可能になります。

しかし、野良猫の場合、正確な月齢・年齢がわからないことがあります。また、十分な食べ物が得られていないと体重が2kgに満たない場合もあります。

猫の発情サイクルは、春から秋にかけて発生し、気候や日照環境などで変動します。

保護したストレスから、一気に発情が始まってしまうケースも考えられます。野良猫を保護したときには、動物病院で基礎疾患の検査、寄生虫駆除と合わせて、避妊のタイミングを相談するとよいでしょう。


避妊・去勢のメリットと必要性

メス猫の避妊、オス猫の去勢に躊躇する保護主さんは少なくないようです。

もちろん手術にはお金がかかりますから、二の足を踏んでしまうような側面もあります。しかし、猫を保護する以上、猫にとって何が大切かを考えることは、大きな判断材料となると思います。

大前提として、不妊手術によって、望まない繁殖(妊娠や出産)を避けることができます。

発情中の鳴き声やトイレ以外での粗相(マーキング)脱走、攻撃的な行動などの問題行動が起こるため、一般家庭では飼い主の生活も乱される傾向にあります。また、メス猫では、将来的な子宮や卵巣の病気のリスクも回避できます。

猫の不妊手術は、ただ人間の都合による繁殖の制限ではなく、保護環境における猫の過密状態、しいては多頭飼育崩壊の抑制が可能になります。猫のとっての発情は、命の危険もあることを認識しましょう。多頭飼育崩壊は決して対岸の火事ではないのです。

もちろん、手術は全身麻酔で行いますが、メス猫はお腹を切ることになり、少なからずリスクが伴います。しかし、これらのリスクは現代の獣医学の進歩によって最小限に抑えられています。

麻酔のリスクについては、検査の結果も左右するので、主治医とよく相談するようにしましょう。


猫の不妊手術の流れ

猫の不妊手術を不安に思うのは、具体的な流れがわからないからかもしれません。何をどうしていいかわからなければ、二の足を踏んでしまうのも仕方のないこと。

ここでは、メス猫の避妊手術について、一般的な流れを紹介します。細かなところは、各病院によっても異なります。実際の流れはお世話になる病院で確認するようにしてください。

健康診断と予約

・猫の不妊手術をする前は、一般的な身体検査を行います。心臓や腎臓などに重大な問題があると、手術を受けられない場合があります。

・健康状態に特に問題がなければ、手術日の予約を取ります。その際に、当日までの流れや手術内容、麻酔に関する説明を受けます。

・まだワクチンしてない場合は、ワクチンスケジュールにより手術日を選択します。成猫に近い子は発情があるため、ワクチン未接種でも受け入れてくれる病院もあります。

・既に発情の兆候がある場合は、あわせて相談するようにしましょう。(発情中の手術は出血は多くなるおそれがあるため、手術を避ける場合もあります)


手術の前日

・手術は全身麻酔で行われます。

・胃内容物逆流による誤嚥を防ぐため、麻酔前には12時間以上の絶食が必要です。

・食事は、前日夜0時までに済ませ、それ以降は何も食べさせないようにします。置き餌の家庭も食べ物はすべて片づけるようにしましょう。


手術当日

・当日の飲水は病院によって指示が異なります。

・うちのかかりつけ病院では、朝8時以降は水を与えないでくださいといわれます。

・手術当日は午前中に病院へ連れて行きます。

猫は洗濯ネットに入れて来院し、手術前に身体検査と手術同意書の記入が行われる。



手術中の検査と準備

・動物病院の多くで、お昼の12時から数時間の手術時間(兼院内清掃、兼お昼休み)を設けています。

・必要に応じて手術直前にも検査を行います。


麻酔導入と手術

・麻酔前投与薬の使用と意識消失後、気管内への気管チューブ挿管が行われる。

・手術は滅菌された状態で行われ、麻酔の深度や痛みの程度はモニターで確認される。

・オスは陰嚢を切開して精巣を摘出、メスはおへそから下の皮膚を切開して卵巣と子宮を摘出。

・オス猫の不妊手術時間は30分程度。メスの場合は、1時間ほど掛かります。


覚醒~術後管理

・手術後は入院室に移動し、麻酔による異常や痛みがないかなどの体調を管理されます。

・術後の痛みを感じさせないために、痛み止めの注射や投薬をすることがあります。

・問題なく覚醒できれば、半日ほどで帰宅可能になります。(メスは一泊入院の場合あり)


退院

・術後は自宅で静養させます。

・病院によっては抗生物質などの薬が処方される場合がありますので、獣医師の指示に従って服用させましょう。

・メスが一泊入院の場合は、体調や傷を確認した後に退院が可能になります。

・エリザベスカラーを提供された場合には、傷口がふさがるまでの1週間はつけておきましょう。

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フォローアップ検査(7~10日後)

・手術後7〜10日後くらいに、縫合した糸を外します。

・吸収糸(自然と解けてしまう糸)で縫合された場合も、術後のフォローアップ検査をしてくれる病院があります。傷の治り具合を見てもらいましょう。

・シャンプーやお風呂は、抜糸してから3日以上空けたら可能です。


手術後の注意事項

・不妊手術をすると次第に基礎代謝量が低下します。肥満防止のため、食事のコントロールが必要。

・抜糸やフォローアップ検査後もしばらくは経過観察が必要です。おうちで何か異常があれば、すぐ病院へ連絡しましょう。


さいごに

野良猫を保護したあとの数か月間は不妊手術、ワクチン、家慣れ・人慣れなどで、気が抜けない状態が続きます。

その中でも不妊手術は大きなハードルとなるひとつです。

しかし、ここで躊躇して時期を逃してしまうと、望まない妊娠や脱走→迷子の問題が発生し、新たな「命の問題」を作ってしまう危険があります。

野良猫を保護したら、不妊のタイミングを逃さないように注意しましょう。

細かなところは、各病院によっても異なります。実際の流れはお世話になる病院で確認してください。


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