「猫のストレスってどうやったらわかるんだろう」
こんなことを疑問に思ったことはないでしょうか。言葉を話せない猫だからこそ、心配なことも多いですよね。
特に猫の身体表現はとても控え目。長年飼っている飼い主でも見逃してしまうこともあるくらいです。
野生の性質を持つ猫は、痛みや苦痛を黙って絶えがち。そんな猫にとってストレスは万病の元といっても過言ではありません。早期に発見して生活環境を改善してあげるだけでも、猫の健康に役立つのです。
そこで今回は、猫がストレスを感じる原因やストレスサイン、飼い主ができる対処法について解説します。
愛猫のストレスが気になるとき、参考にしてください。
猫が精神的ストレスを感じるとき
猫は環境の変化に非常に弱い動物ですので、常に安定した状態を好みます。
ストレスは、身体的な苦痛だけでなく、恐怖、不安、痛みや不快感を含みます。身体的ストレスが生じたときには、同時に精神的にも大きなストレスがかかります。
生存にかかわるストレス
・外敵に襲われそうなとき
・ケガや病気が長引いているとき
・十分な食べ物や飲み水がないとき
・体力を奪うような暑さ寒さ
このような生存に関わる環境は、猫だけでなく動物の多くがストレスに感じます。特に野良猫であれば基本的に誰も守ってくれません。ストレスの環境は飼い猫と比較にならないほど大きいのです。
一方で飼い猫の場合には、以下のようなケースも考えられます。
自己の存在にかかわるストレス
・ 意にそわない触れあいや乱暴に扱われる
・ 大きな音や低い音がする
・運動不足
・自分のテリトリーを阻害される
・相性の合わない猫や他の動物と同居
・家族構成の変更
・転居
・柔軟剤やアロマなどの香り
これらは猫の習性に関わるものが大きく、自分で対処できない状況がほとんど。なので、猫の不安や不快感を大きく煽ります。柔軟剤などは、飼い猫ならではの原因ともいえそうです。
一般的に「ストレス」と呼ぶものは、体の反応や反応を元に戻そうとする恒常性のこと。
いわゆるストレスの原因となる刺激に対しては「ストレッサー」といいます。音や温感、視覚など外部刺激の他、不満や葛藤なども心理的なストレッサーになります。
ストレッサーをできるだけ取り除くことが、ストレスを軽減する秘訣になります。
猫がストレスを感じているときに出すサイン
身体の変化をよく観察することで、猫がストレスを感じているかどうかがわかります。
猫の身体表現は基本的に地味なので、対外的に大きな動作をする動物ではありません。
家の中で飼っている猫であれば、ふだんの様子を比較してみてください。
猫のストレスチェック
・からだのサイン
見た目でわかりやすいのは、耳の向きです。後ろに寝かせていれば、緊張状態にあることを示します。
緊張すると、目は瞳孔が大きく開き、全体の筋肉に力が入ってこわばります。狭い所へ入り込もうとする場合もあります。
ケンカなどで威嚇する時には相手より大きく見せようとします。そのため猫、横向きになり毛を逆立てます。逆に相手が強そうなときには、逆に腰をかがめて低い姿勢をとろうとします。
うずくまっているときは恐怖心が大きい証拠です。
・声によるサイン
猫は人間のように細かな言語を使い分けられません。
ウ〜ッという唸り声やシャーという威嚇声なら警告を感じられます。が、ニャーニャーと鳴かれたときには判断に迷うかもしれません。
人慣れしている猫はストレスを感じると、改善をしてほしいとねだることがあります。そのときの泣き方は、甲高く大きな声であることが多いでしょう。
ふだんからあまり鳴かない猫がしつこくなく鳴くなら、注意してください。猫にとって何かしらの問題が発生してストレスになっているのかもしれません。
環境内を確認するようにしましょう。
・においによる行動
猫の顔のまわり、しっぽ、肉球には、自分だけのにおいを分泌する臭腺があります。
爪とぎをしたり、身体をこすりつける行動は、自分の環境を守るために行っています。
未去勢のオス猫であれば、マーキングもします。立ったままでおしっこを飛ばすスプレーはまさににおい付け行為です。
自分のにおい付けは、看板を持ってここは自分の場所だと主張していることになります。あまりにも頻繁な場合はストレスに感じていることがあるかもしれません。
猫がストレスを感じたときにする行動・サイン
猫はとても保守的です。「やっつける」よりも「自分の身を守る」を優先します。
表情や姿勢などは、身を守るための表現です。
いわゆる猫パンチや噛みつきなどの攻撃的な行動をするときもあります。しかし、それは、恐怖心や嫌悪感を振り切った、決死の覚悟の証なのです。
猫の攻撃性は耳や瞳孔でわかります。耳は垂れるほど、瞳孔は大きいほど攻撃性が高まってる証拠。うかつに手を出すと、猫パンチされてしまうかもしれませんよ。
そのほかにも、このような行動がみられます。
・落ち着きがなく、行ったり来たりしてそわそわする
・セルフグルーミングが増える
・寝てばかりいて環境に無関心になる
・隠れてしまう
・呼吸があれる、ため息をつく
・食べ物でないものを噛む、なめる
・飼い主やほかの同居動物に八つ当たりをする
猫のからだにストレスがかかっているときの反応
ストレスを感じると猫の体の中は、どうなっているのでしょうか。
ストレスが原因で起こりやすい猫の病気
猫のストレスが長く続くと、病気になる可能性があります。
特発性膀胱炎
これは、ストレスにより脳から放出されるホルモンのせいで引き起こされる病気です。
猫の尿路疾患でもとても多い病気です。
結石や細菌が確認されない膀胱炎は「原因不明」「ストレス」などといわれます。トイレに何度も行く、血尿が出る、トイレ以外で粗相してしまうなどの症状があります。
食欲不振、嘔吐、軟便や下痢
ストレスにより交感神経が優位になると消化器官のはたらきが抑制されます。
胃の中に食べ物が滞留してしまうと、嘔吐してしまうことがあります。ストレスは、腸の蠕動運動う狂わせて今します。その結果、腸内になる便の水分を適度に調整できず、軟便や下痢になってしまうのです。
糖尿病
ストレスによって緊張すると血糖値が上がってしまう「ストレス高血糖」があります。
病院の診察台で異常に緊張しすぎても、一時的に血糖値が高めに出ることもあります。(うちの猫はそうでした)
ストレスがかかると、血糖値を下げるインスリンに対し抵抗性が出てしまい、血糖値があがったまま下がらなくなってしまいます。この状態が長期間継続すると、糖尿病になりやすくなるのです。
・神経症
いわゆる不安障害です。
猫は自身を落ち着かせるため、セルフグルーミングを頻繁に行うことがあります。新猫の迎え入れや引っ越しで、猫が舐めハゲを作ってしまうことはよく聞く話です。
一部分だけを過剰にグルーミングすると危険です。自分のしっぽを噛む、毛をむしり取るなど、脱毛やケガの原因となる場合があります。
猫にもある自律神経の不調
交感神経や副交感神経という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
猫も人と同じように、自分の意志とは関係なくはたらく自律神経というものがあります。自律神経は、交感神経や副交感神経にわけられます。
このふたつは、まさにアクセルとブレーキ。交感神経が活発だと、心拍数や呼吸の増加、発汗促進、消化器官の働きは抑制されます。
副交感神経がはたらくと、呼吸や心拍数が下がり、ゆったりした状態になります。一方で消化器官の活動は促進され、胃液や膵液の分泌は活発になります。そのため、食べたものをよく消化できるようになります。
ストレス下に長くおかれた猫は、自律神経の乱れにより不調が出てくることがあります。さらに症状が長引くとストレスとなり、精神的にも疲労してしまうことも。それが最終的には病気につながってしまう場合もあります。
交感神経と副交感神経がバランスよく動くことは、健康を保つためにも重要なのです。
ストレスへの対策
生きていれば多かれ少なかれストレスがかかってしまうのは仕方ありません。
しかし、ストレスを継続的に受れば、心身とともに悪い影響を及ぼしてしまいます。だからこそ、飼い主には適切なケアが求められます。
猫のストレス行動が認められたら、すぐに対応しましょう。
ストレスの原因を取りのぞく
猫がストレスを感じる状況があれば、可能な限りすぐに元に戻すようにしましょう。
場合によっては、飼い主自身の行動の中で、ストレスを与えていることもあります。音楽や部屋のにおい、在宅時間/帰宅時間の変更など気づきにくことがあります。
中にはお土産で購入したぬいぐるみがストレスになっていたケースもあります。
同居する人は、突発的な行動をしないよう心がけてください。ささいな原因は見つかりにくいものです。
猫の嗅覚は非常に優れています。見えない柔軟剤や芳香剤の香りもストレスになりかねません。強い香りや柑橘系は絶対にNGです。病院帰りのキャリーバッグなどもご注意ください。
不足している要求があれば満たしてあげる
猫を飼うのは人用の住宅ですから、どうしても猫の習性とは合いません。どうしても猫が必要とする要求が不足してしまうことがあります。
猫のためにプラスアルファしてあげましょう。
たとえば、寝床だけでなく「隠れ家」、トイレや水飲み場、爪とぎ場は、複数か所に用意する。これらは生活を快適にするだけでなく猫の心理的な負担を抑えます。
時には、狩猟本能を発揮できるような遊びができる機会を与えましょう。いつも寝ているかもしれませんが、遊びに誘ってあげてください。本能を満たすことでストレスが軽減できるケースは少なくありません。
空間全体を譲り合って、猫が安心できる生活環境を整えてあげることが大切です。
問題行動の悪循環を断ち切ろう
ストレスからやってしまう行動が、さらにストレスを強めてしまうことがあります。
問題行動をやめてと言っても治りません。猫にしたら、他にやりようがないからしてしまうということを理解してあげましょう。
・猫の爪とぎをするなら爪とぎしてもいい場所にする
ストレス発散のつもりで柱や壁、家具などで爪とぎをするかもしれません。そのことで、叱られたり、邪魔されたりすれば、猫はますますストレスになります。
爪とぎは猫の習性ですから、爪とぎ自体をやめさせることはできません。
ソファには、下地が傷まないようにカバーをかけましょう。壁には段ボール製の爪とぎを設置しましょう。家の中で「爪とぎをしてもよい場所」に変えるように工夫すれば猫も快適に過ごせます。
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・同居猫とはケンカをさせないようにする
新しく迎えた猫と先住猫だけでなく、兄弟猫でも仲が悪くなってしまうこともあります。
ケンカをした後、うまく仲直りができないと、お互いに緊張を抱えてしまいます。すると、一緒に暮らしていること自体がストレスになってしまいます。ヘタすると顔を合わせるたびにケンカしてしまうことも。
住宅事情が許すなら、顔を合わせないよう別の部屋で暮らしてもらう方法もあります。
部屋の入口や廊下などで合わせしてしまう場所があるなら、逃げ場を設けましょう。ケンカを引き起こさないようにするのが大事です。
・猫に人の体を噛ませないようにする
子猫のうちは、まだ「立派なオトナ猫になる練習」が必要です。それゆえに狩りの練習の一環として、飼い主に噛みついてしまうこともあります。
噛み癖を治すために大きな声で叱ったりする人もいるようです。が、本当のところ、それで辞めるほど狩猟本能は脆弱ではありません。
逆にあまり強く叱ってしまうと、今度はそれがストレスとなります。すると、成猫になるに従って敵対意識で攻撃するようになることがあります。(もちろん性格にもよりますが)
「本能を叱られる」 これは、一緒に暮らすのに猫にとってストレスが大きすぎます。
噛むのをやめさせるのではなく、噛めるモノを与えましょう。思う存分、噛んだり蹴ったり引っかいたりすれば気が済みます。自分は噛まれないように、注意するようにしましょう。
・猫がストレスから粗相をしても猫は叱らずに徹底的に消臭する
お留守番や意にそぐわない行動などに対して、飼い主への抗議で粗相する子がいます。また、上で述べた特発性膀胱炎でトイレに間に合わなくなってしまう子もいます。
猫は本来必ず決まった場所で排泄できる動物です。もし、トイレ以外で粗相してしまうのは、猫にとって重大な事情があるということ。絶対に叱ってはいけません。
まずは病院で適切な診察を受けること。特に病的な問題がなければ、ストレスになっている原因を探すようにします。病院が後回しになると粗相が収まらないだけでなく病気の悪化も懸念されるからです。
粗相した場所にニオイが残るとまたそこでしてしまいます。洗えるものは熱湯で洗い流してから洗濯を何度か繰り返しましょう。人間にニオイがわからなくても、成分が残ると猫にはわかります。
マッサージなどのリラクゼーションを取り入れる
飼い主が毎日忙しくイライラしてしまうと、猫はその雰囲気を敏感に感じ取ります。すると、飼い主がいない時間でもリラックスできない状態が長く続いてしまうことも。
人間の方がまず意図的に落ち着くようにすることが大切です。
猫と過ごす時間は、できるだけゆったりとした気持ちを持つのがコツ。ブラッシングやマッサージなど猫が好むことをやってあげましょう。
注意点としては、日中のお留守番が長いと猫はつい寝てしまうので運動不足になりがち。体内のエネルギーが溜まった状態ではリラッグゼーション効果も半減してしまいます。
まずは1日おきにでもおもちゃなどを使い運動をさせましょう。その上でリラクゼーションをして過ごすとよいでしょう。
さいごに
猫にもいろんながいます。
それゆえに何がストレスになるかという時点で、それぞれ違ってしまうのが実情です。
一時的なストレスであれば、普段通りの生活に戻せば落ち着くことがほとんどです。気を付けたいのは、日常的に積み重なるストレスです。
今回はいくつかの対策を紹介しました。
ですが、いずれかを試してみてもうまく改善されない可能性は考えられます。環境の問題もありますし、飼い主の生活もあります。猫は人間の言葉で話してくれないので、それなりの試行錯誤は必要になることでしょう。
飼っている猫の性格と環境に合わせながら、ストレス対策をしてあげてください。
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